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コンピュータの仕組み10

フリップフロップ
フリップフロップ

 コンピュータは色々な計算を行いますがもう一つ重要な機能を持っています。それは情報を記憶することです。記憶の方法は何種類もありますがここでは最も基本的な方法であるフリップフロップを見てみます。

SetResetQaQb
00保持保持
0101
1010
11禁止禁止
フリップフロップ真理値表

フリップフロップはS(Set)、R(Reset)が入力でQが出力です。最初にSとRに0、1を入力した動きを追ってみます。

S = 0
NotA=1
R=1
NotB=0

NandAの入力a,bは以下になります。

NandAa=NotA=1
NandAb=NandB

NandAはNandAaが1なのでNandBが1の時に0になります。

NandBの入力a,bは以下になります。

NandBa=NandA
NandBb=NotB=0

NandBはNandBbが0なのでNandAに関わらず1になります。

 Rが1のときはNotBが0なのでNandBが1となりNandAの入力が共に1になるのでQaが0となります。

 逆のSとRに1、0を入力したときはNotAが0なのでNandAが1となりQaが1となります。

 1を記憶したい時は1、0と入力し0を記憶したい時は0、1、読み出したい時は0、0になれば良く必要なビット数分並列にすればCPU内のレジスタを構成できます。このような記憶素子をSRAMと言います。

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電子材料・部品と計測

電子材料・部品と計測
電子材料・部品と計測

 絶縁体、導体、半導体までは理解できたのですが液晶のように光と電気を組み合わせたところから難しくて今の私では理解できませんでした。いつか読み返してみたいです。

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コンピュータの仕組み0F

Not,Nand,Nor
Not,Nand,Nor

 今まで電気、電子部品でコンピュータがなぜ動くかの説明を続けてきましたがいよいよ物理的なことから論理的な説明に移ります。

 前回FETでNOT、NAND、NOR回路を構成しましたがそれぞれを記号に置き換えて考えます。記号の中はリレーでも真空管でもトランジスタでも同じです。実際装置を作る時にその素子を決めればよく未来の新しいデバイスであってもこれから説明することは変わりません。

論理回路を記号化
論理回路を記号化

 このNOT、NAND、NORを組み合わせて様々な論理演算ができます。例えばNANDにNOTをつけるとANDに、NORにNOTをつけるとORの出来上がりです。更にブール代数で数式化すれば回路を数式化に置き換えて設計できます。

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コンピュータの仕組み0E

NOT回路
NOT回路

 ゲートに電圧がかかっていない時、ドレインを測定すると電圧が出ます。ゲートに電圧をかけるとFETがONになるのでドレインには電圧が出ません。これはAがONの時はXがOFF、AがOFFの時はXがONになると見なすことができます。入力が反転する回路です。

NAND回路
NAND回路

 FETが直列に接続されているため、AとBの両方のゲートに電圧をかけた時だけXのドレインの電圧が出なくなります。それ以外の時は電圧が出ます。二つの入力がともにONの時に出力がOFFになる回路です。

NOR回路
NOR回路

 FETが並列に接続されているためAまたはBのゲートに電圧をかけるとXのドレインの電圧が出なくなります。どちらかがONの時に出力がOFFになる回路です。

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コンピュータの仕組み0D

スイッチング素子
スイッチング素子

 電気を使って計算をするために必要な部品は電気で操作できるスイッチです。スイッチを組み合わせて回路を作り、最初のスイッチをONにすると電気が次のスイッチに流れます。次のスイッチは前のスイッチがONになった時に更にその次のスイッチに対してONにしたりOFFにしたりします。スイッチのONとOFFを組み合わせて複雑な計算を行います。

 どの計算をする時にどのようにスイッチを組み合わせ行くか設計をしていくわけですが、その時に必要になる理論がブール代数です。

 リレーはコイルに電気が流れると芯が磁石となりCからNOに電気が流れます。電磁石を利用した電気機械です。

 真空管はGからKに電圧をかけるとPからKに電気が流れます。Hに電気を流して内部を加熱しなければならないため制御に使う電力よりも加熱に必要な電力が大きくなってしまいます。

 トランジスタはBからEに電気を流すとCからEに電気が流れます。ここから電子回路の集積化が始まりました。

 FETはGに電圧をかけるとDからSに電気が流れます。Gに電圧をかけるだけで制御できるのでトランジスタよりも電力効率が良く殆どの集積回路はこのFETの原理を利用しています。

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イメージセンサーを調べる

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コンピュータの仕組み0C

 12BH7Aという真空管が石川町駅そばのシンコー電機で売っていたので買ってみました。ネットで使い方を調べていると低電圧でも動作させている人が結構いることがわかりました。真空管イコール高電圧と思っていましたがそうでもないようです。せっかくDC-DC変換を発振器に付けたのですが低電圧でも動作するならその方が楽で良いです。アンプを作るわけではないので増幅率や歪はある程度無視します。

低電圧で真空管をスイッチングしてみた
低電圧で真空管をスイッチングしてみた

 7V位でもAND回路であれば動くことがわかりました。

真空管でAND回路を作ってみた
真空管でAND回路を作ってみた

 PCのLINE入力にはオペアンプを経由します。変な電圧がパソコンにかかっては大変です。

双三極管でAND回路を作った
双三極管でAND回路を作った

 ヒーター電圧12Vのところを7Vしかかけていないので点灯していませんが触ると熱くなっています。

測定用ステレオ1倍アンプ
測定用ステレオ1倍アンプ

 ステレオ入力の左に発振器の出力、右にAND回路の出力をつないでパソコンのAudacityで確認します。

ヒーターが温まるまで時間がかかる
ヒーターが温まるまで時間がかかる

 上が入力、下が出力です。AND回路には同じクロック信号を二つの入力に入れていますので、発振器側と同じくAND回路の出力につないだLEDが明滅します。

 ヒーターが熱くなるまで出力が出ないことが良くわかる絵になりました。

まだ出力に出てこない
まだ出力に出てこない

 ヒーターが暖まるにつれて出力が上がってきます。

真空管式AND回路の出力が歪む
真空管式AND回路の出力が歪む

 約2kHzのクロック信号ですがAND回路を出た後波形が崩れています。原因はわかりません。

双三極管でAND回路を作ってみた
双三極管でAND回路を作ってみた

 この時の回路図です。電圧が低いから波形が乱れたのでしょうか。

 カソードから出力を取っていたのですがここで大問題に気づきました。プレートに電圧をかけなくてもグリッドに電圧がかかるとカソード側に電流が流れるのです。上の回路図でいえばGNDに近い入力に電圧をかけるだけでプレートの電圧に関係なくカソード側に電流が流れLEDが明滅してしまいます。

 そもそもAND回路になっていませんでした。

プレート側の電圧を使う
プレート側の電圧を使う

 であればプレート側の電流を使えば良いと後に思いつたので早速試しました。

 ちゃんと二つの入力がONにならないと出力側のLEDが明滅しないことを確認できました。

プレート側からAND回路の出力を取る
プレート側からAND回路の出力を取る

 GNDから遠い方のプレートに電流が流れるかどうかがAND回路として成立するかどうかの条件になります。二つのグリッドに印加されない限り電流が流れないのでAND回路とし成り立っています。

抵抗を幾つか繋いで出力を調整
抵抗を幾つか繋いで出力を調整

 出力は抵抗を調整すれば変えられました。流れる電流が決まっているのでプレートにかける電圧とグリッドにかかる電圧とで上手く調整すればINとOUTを同じにできるでしょう。

プレート側から取った出力の立ち上がり
プレート側から取った出力の立ち上がり

 前と同じようにヒーターが暖まるまで出力が上がりません。真空管が熱電子を制御する素子であることが良くわかります。

プレート側の出力は波形が乱れない
プレート側の出力は波形が乱れない

 振幅が少し変わっていますが波形はかなり類似しています。目視では違いが分かりません。

AND回路へ入力するクロックを21kHzまで上げてみた
AND回路へ入力するクロックを21kHzまで上げてみた

 21kHzまでクロックを上げても大丈夫です。この真空管は可聴範囲よりもずっと高い周波数でも動きます。パソコンのLINEなのでAudacityは正弦波を表示していますが実際は矩形波が出ているでしょう。

  熱電子ではありますが電子の流れをこのように制御して論理回路を作ることができます。後は規模を大きくしていけば初歩的電子計算機を作れます。

 松下電子高槻工場で真空管の製造が停止されたのが1979年だそうです。この真空管はカラーテレビにも使用されていたので最後の方に作られたのかもしれません。既に前年の1978年にはIntel8086が発売されています。もう少し真空管を調べてみたいのですが目的から大きく外れてしまうのでここまでで実験を終えます。

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コンピュータの仕組み0B

 トランジスタまで話が進みましたが、リレーでAND回路の実験をした後、真空管を飛ばしてトランジスタに行くのが少し心残りでした。でも大きなトランスと高電圧を扱うのが真空管回路です。実験のためだけにそれらに必要な準備をすることは気が進みませんでした。

 数日後、NE555実験用発振器で高電圧を作ることができると気付き思い直して真空管で論理回路を作ることにしたのです。

DC-DC変換付NE555発振器
DC-DC変換付NE555発振器

 右上のコンデンサ、コイル、トランジスタ、ダイオードで高電圧を作ります。開放状態で185Vまで昇圧できました。

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12BH7A

12BH7A
12BH7A
双三極管でAND回路を作った
双三極管でAND回路を作った

12BH7A Matsushita
 昭和54年7月、松下電子、高槻工場で真空管製造が停止されました。国内最後の工場だったようです。


 この真空管はカラーテレビにも使われていたので最後の生まれたMT管かもしれない。


ChatGPTにこれは何か聞いてみた。

User
12BH7Aは何ですか。

ChatGPT
12BH7Aは、真空管の一種で、デュアルトライオードと呼ばれる二つのトライオードを内蔵した小型の電子真空管です。この真空管は、高い増幅率、低い内部抵抗、高い信号対雑音比を持ち、オーディオアンプ、パワーアンプ、音声処理などの用途で広く使用されてきました。

12BH7Aは、最大のアノード電圧が300V、最大プレート消費電力が2.5Wであり、一般的に使用される真空管の中では中程度の出力を持っています。また、熱安定性が高く、温度変化によるパフォーマンスの変化が少ないため、オーディオアンプなどの高精度なアプリケーションに適しています。

12BH7Aは、真空管アンプの設計者やオーディオ愛好家によって高く評価されており、高品質な音質を提供することができます。ただし、真空管は大型かつ高価であり、操作中に高温になるため、現代の電子回路では半導体素子に置き換わっていることが一般的です。

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光エレクトロニクスの基礎

光エレクトロニクスの基礎
光エレクトロニクスの基礎

 光と電気の関係がよくわかりました。基礎理論は難しいですが応用を考える上で役に立ちます。まだ光だけを利用する技術は普及していませんがいずれあらゆるところで応用されてるでしょう。

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光スイッチングと光インターコネクション

光スイッチングと光インターコネクション
光スイッチングと光インターコネクション

 「光は自由空間では互いに干渉しない」

 「3次元自由空間における光の不干渉性や直進性を活かしたフリースペース型の光インターコネクションや光スイッチング、あるいは光の波長多重技術、、、」

 光でのスイッチングはまだ汎用品で実用化するほど気軽にできるものではないようです。今でも新しい光スイッチング技術が発表されているくらいなので開発中のようです。いつか部品屋さんで誰でも買える日がくるでしょう。

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コンピュータの仕組み0A

 真空管で電子の流れを制御してON、OFFを繰り返し論理演算ができるようになったのですが大きな問題がありました。真空管自体が大きく発熱を要するので、出来上がったコンピュータが巨大且つ大電力を必要としたのです。

 あらゆる電子装置がそうだったのですが大きく電気をたくさん使うのであれば用途が限られてしまいます。そこで真空管の次に発明されたのがトランジスタという素子です。

 トランジスタも端子が3本ありその内2本に電気を流すために残りの1本が助けるという真空管と同じ働きがあります。真空管は真空の中を熱電子が飛ぶのですがトランジスタは個体の中の電子の流れるを制御するする仕組みです。熱電子ではないのでヒーターで熱くしなくてもいいのです。

トランジスタの動き
トランジスタの動き

 トランジスタはBからEに電気が流れるとCからEにも電気が流れます。その性質を利用してスイッチを作ります。スイッチができてしまえばAND回路やOR回路などの論理回路が作れるようになります。

 1950年代後半から続々とトランジスタを使った計算機が開発されていきます。この頃はリレー式電気計算機、真空管式電子計算機とトランジスタ式電子計算機という世代が異なるテクノロジーが乱立した稀有な時代だったのでしょう。

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数と式と文の処理

情報科学23 1981.12.10 発行

数と式と文の処理
数と式と文の処理

 数、式、文の構造を整理してコンピュータに処理できるようにしようとしています。このアプローチは構造をいちいち明確にしなければならないので難しい方法です。

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コンピュータの仕組み09

真空管の原理は赤色の流れが黄色の流れを助ける
真空管の原理は赤色の流れが黄色の流れを助ける

 真空管を電気を流すところの間に入れます。真空管には制御用の3本の端子があり、電気を流すところの間に入れるので電気が入るところと出るところで端子を二つ使います。

 電源から真空管を通して電気が流れるのですが、余ったもうひとつの端子に電気を流すと、最初に繋いだところの電気が止まったりまた流れ出したりします。この動きをスイッチとして利用します。

 余った端子に電気を入れると真空管がON、電気を入れるのを止めると真空管がOFFになりAND回路やOR回路などの論理回路を構成できます。

 真空管を使うことで電気計算から電子計算に進化しました。真空管は電子の動きを制御するので電子計算と呼ばれるのです。スイッチのON、OFFに機械の動作が無くなりました。

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コンピュータの仕組み08

リレー OMRON G2R-1-H
リレー OMRON G2R-1-H

 スイッチのON、OFFを繰り返してAND回路やOR回路などを組み合わせた論理回路に仕事をさせるのですが、スイッチのON、OFFを人手でやるわけにはいきません。そこで人手で動かさないスイッチが必要となります。

 最初に計算に使われたそのスイッチは継電器、今の言葉でいえばリレーと言います。上の写真がその実物のリレーです。

 リレーの仕組みは簡単で中のコイルに電気を流すと芯が磁石になり、その磁石に吸い付いた鉄片がスイッチのように回路を繋いだり切ったりします。電信時代の技術で電気機械の一部です。1950年代後半にカシオがリレー式の計算機を商用化しています。この計算機は電気の流れを制御して計算を行うので電気計算機となります。

リレー式計算機の動作
リレー式計算機の操作
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生体における情報処理

情報科学24 1982.10.8 発行

生体における情報処理
生体における情報処理

 「生物を合目的的な存在とみなすならば、生物はひとつのシステムである」

 「organismは有機体ととも訳されるが、この”機”とはからくりを意味する」

視覚のシステム

 外部から入った光を電気信号に変換し情報処理される。この時輪郭が強調される。

 静止しているもの、素早く動いているもの、全体をとらえた大まかなものの三つの系統がある。

「大脳の視覚中枢にある数億の細胞は、それぞれ超単純、単純、複雑、超複雑の反応性を持ち」

 脳の視覚中枢だけではなく2次元として反応、3次元として反応、色の反応というように複数の野で特徴抽出を行なっている。

 感覚器官でエネルギー変換を行いそれぞれの野で特徴を捉えて連合野で主観的に認識している。聴覚も同じように処理されている。

神経回路網の数理モデル

 「興奮パターンの競合と協調による相互作用が並列情報処理の原型」

 「入力繊維からからくるパルス頻度を表すアナログ量である」

 フィードバックすることにより興奮が持続し、興奮パターンの形で表される情報間の相互抑制による競合作用と、興奮性結合による協調作用が組み合わさって複雑な情報処理が実現されている。

 コグニトロン、ネオコグニトロンとは神経回路モデルで優秀な実験結果を残しているそうです。恐らく今でも進化していると思います。

人間の認知的情報処理

 感覚情報保存、短期記憶、長期記憶の説明が詳細にありますが、人工知能は人工なので記憶の保存期間を制限しなくてもよく、処理速度の長短の都合で分類した方がいいと思います。

遺伝と情報

 遺伝の仕組みは個々生物の仕組みというよりも種全体の巨大なシステムと捉えることができる。

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コンピュータの仕組み07

スイッチと電球
スイッチと電球

 電池にスイッチと電球をつなぎ、スイッチをONにすると点灯しOFFにすると消灯するようにします。

 スイッチON:点灯
 スイッチOFF:消灯

スイッチと電球の関係はこのように整理できます。

二つのスイッチと電球
二つのスイッチと電球

 今度はスイッチを二つ直列につなぎました。両方のスイッチがONの時にしか電球は点灯しなくなります。

 SW1:ON、SW2:ON → 点灯
 SW1:OFF、SW2:OFF → 消灯
 SW1:OFF、SW2:ON → 消灯
 SW1:ON、SW2:OFF → 消灯

並列にスイッチ二つと電球
並列にスイッチ二つと電球

 今度はスイッチ二つを並列につなぎました。そうするとどちらかのスイッチがONであれば電球が点灯します。

 SW1:ON、SW2:ON → 点灯
 SW1:OFF、SW2:OFF → 消灯
 SW1:OFF、SW2:ON → 点灯
 SW1:ON、SW2:OFF → 点灯

 スイッチを直列につないだものがAND回路といい、並列につないだものがOR回路と言います。

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アナログで乗算

 8ビットマイコンでAIを作ろうと思い、8ビット全盛のころの情報技術に関する古い本を手に入れて勉強しています。古いといっても殆どが昭和の後半から平成の初めですが。その中で電子回路とアナログIC、平成8年初版を読んでいて新しい発見がありました。アナログ系のエンジニアの方からすると当たり前のことだと思いますが、ソフトウェア側から見ると新鮮なこともあるものです。

 その発見とはアナログICで乗除算や平方根、微積分を計算できるということです。普通にそのICは販売されて一般には知らないところで活躍しているようです。加減算はオペアンプでできるというのはアナログ回路を勉強していて比較的早く知り得たのですが乗除算や平方根、微積分までも計算できるとは驚きです。

 このICを手に入れて是非実験したいものです。

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電子回路とアナログIC

電子回路とアナログIC
電子回路とアナログIC

 基本定理、変成器、半導体、ダイオード、トランジスタ、各種増幅、同調、発振、変調、復調電源と一通りのアナログ回路の解説がなされていますのでこれを見ながら実際の回路を作って勉強していけばアナログ回路の技術の基本が身につくと思います。

 演算増幅器とアナログICという章が最後にありました。アナログICで掛け算、割り算、平方根を求められ微積分もできることを知らなかったので勉強になりました。アナログICも奥が深いですね。

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コンピュータの仕組み06

ATX電源
ATX電源

 家庭やオフィスには100Vまで電圧は下がってきています。しかしコンピュータから見るとまだまだ高電圧でしかも交流なので使えません。そこでコンピュータの箱の中で電圧を低くして使えるようにしています。

 電圧を下げる方法としてトランスを使う方法がありましたがこの方法には大きな欠点がありました。トランスが非常に重く多くの金属を必要とすることです。鉄に銅線を大量に巻かなければならないので大きい容量を得ようとすると重量が嵩んでしまうのです。これではコンピュータが必要とする電力を安価で軽量な装置で提供することができません。

 この問題を解決したのはスイッチング電源と呼ばれるものです。家庭用交流電源を直接整流して直流にし、その電気を使って高周波を発振させます。この高周波を高周波トランスを使って電圧を下げてからまた直流にします。この時発振をうまく制御して目的の電圧まで下げます。高周波トランスは電源トランスよりも周波数が高い範囲を目的としているので大幅に小型化できます。スイッチング電源は部品数が多くなりますが従来の電源トランスを使わないため小さなパソコンの中に収納することができるようになったのです。

 発電所からパソコンの中まで電気が到達する様子を簡単に追ってきましたが何度も何度も変換を繰り返してコンピュータが必要とする電圧まで下げてきました。この社会インフラとそれを成し遂げる技術があるからこそ情報機器が発展し普及していったことがよくわかります。