神戸大学が光合成細菌利用で生分解性プラスチックの高生産に成功
神戸大学は2025年2月17日、光合成細菌であるシアノバクテリアを利用したバイオ製造法により、短期間での生分解性プラスチックの大量生産に成功したと発表しました。
従来法の問題点
従来の生分解性プラスチックの生産では、トウモロコシなどのバイオマスを原料として発酵させる方法が一般的でした。しかし、この方法では生産に時間がかかり、コストも高くなります。
シアノバクテリアを用いた新手法
神戸大学の研究チームは、シアノバクテリアの光合成能力に着目しました。シアノバクテリアは、光と二酸化炭素を利用してエネルギー源（ATP）と有機物を生成する細菌です。研究チームは、シアノバクテリアに遺伝子改変を施し、生分解性プラスチックの原料となるポリヒドロキシアルカン酸（PHA）を生産するようにしました。
高効率な生産
シアノバクテリアは光合成によってエネルギーを得るため、外から糖やその他の有機物を供給する必要がありません。これにより、従来法よりも生産効率が大幅に向上しました。研究チームは、わずか4日間で従来法の10倍以上のPHAを生産することに成功しました。
廃棄物削減への貢献
生分解性プラスチックは、石油由来のプラスチックに比べて環境にやさしい素材です。従来のプラスチック廃棄物が環境汚染や海洋汚染を引き起こしていることを考えると、この新手法は廃棄物削減に大きく貢献することが期待されます。
今後の展望
研究チームは今後、生産効率をさらに向上させ、産業規模での生産を目指します。また、シアノバクテリアを利用したバイオ製造法を他のバイオプラスチックや医薬品にも応用することを検討しています。
この研究は、国際科学誌「Green Chemistry」に掲載されました。神戸大学の研究成果は、持続可能な社会の実現に向けて期待が寄せられています。
生分解性プラスチックの短期間での高生産に成功 –光合成細菌シアノバクテリアを用いたバイオものづくりに進展–
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