福島第一原発の処理水放出、国際的な安全評価は？ IAEAの専門家チームが4回目の調査を実施
経済産業省は、2025年5月30日に、福島第一原子力発電所から海洋放出されているALPS処理水について、国際原子力機関（IAEA）の専門家チームによる4回目の安全性レビューミッションの結果を公表しました。
ALPS処理水ってなに？ なぜ海洋放出するの？
ALPS処理水とは、福島第一原発の事故で発生した汚染水を、ALPS（多核種除去設備）という特殊な装置で浄化した水のことです。この装置によって、トリチウム以外のほとんどの放射性物質を取り除くことができます。
しかし、トリチウムは水の性質と似ているため、ALPSでも取り除くことができません。そこで、トリチウムの濃度を国の基準よりもずっと低いレベルまで薄めて、海洋放出するという方法がとられています。
これは、世界的に見ても一般的な方法で、トリチウムを含む水を安全な濃度まで薄めて放出することは、他の原子力施設でも行われています。
IAEAってどんな機関？ なぜ安全性をレビューするの？
IAEAは、原子力の平和利用を推進し、原子力技術の安全性を高めるための国際機関です。今回のALPS処理水の海洋放出についても、日本政府の要請を受けて、その安全性を国際的な視点から評価しています。
IAEAの専門家チームは、日本の海洋放出計画が国際的な安全基準に合致しているかどうかをチェックし、独立した立場で評価を行います。これにより、海洋放出の透明性を高め、国際社会からの理解を得ることを目指しています。
4回目のレビューミッション、何がわかったの？
今回の4回目のレビューミッションでは、ALPS処理水の放出が開始されてから、実際にどのように放出が行われているか、環境への影響はどうかなど、より具体的な状況を評価しました。
経済産業省の発表によると、今回のミッションの結果はまだ詳しく公表されていませんが、IAEAはこれまでのレビューで、日本の海洋放出計画は国際的な安全基準に合致していると評価しています。
これからの課題は？
ALPS処理水の海洋放出は、長期にわたる取り組みです。今後も、IAEAによる継続的なレビューや、環境モニタリングの結果を公開することで、透明性を確保し、関係各国の理解を得ることが重要です。
また、漁業関係者をはじめとする地元の方々への丁寧な情報提供や、風評被害対策も引き続き行っていく必要があります。
今回のIAEAのレビューミッションの結果が、ALPS処理水の海洋放出に関する理解を深め、より安全な原子力利用につながることを期待します。
IAEAタスクフォースにより、海洋放出開始後4回目となるALPS処理水の海洋放出に関する安全性レビューミッションが行われました
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