東京大学が発表！ヘムタンパク質が植物の形をデザインする秘密を解明！～コケから花まで、植物の成長を支える共通のメカニズムとは？～,東京大学

東京大学が発表！ヘムタンパク質が植物の形をデザインする秘密を解明！～コケから花まで、植物の成長を支える共通のメカニズムとは？～

東京大学は、2025年5月25日、植物の形作りをコントロールする重要な役割を担うタンパク質に関する画期的な研究成果を発表しました。今回の研究では、ヘムタンパク質と呼ばれる特別なタンパク質が、RLFタンパク質という別のタンパク質と協力して、植物の形を細かく調整していることが明らかになりました。

この発見がすごいのは、コケ植物という原始的な植物から、私たちが普段目にする被子植物（花を咲かせる植物）まで、非常に幅広い種類の植物で同じような仕組みが使われていることが分かったからです。つまり、植物の形作りにおける「共通言語」のようなものが発見されたと言えるでしょう。

一体、ヘムタンパク質とRLFタンパク質は何をしているの？

今回の研究の中心となるのは、次の２つのタンパク質です。

ヘムタンパク質: 鉄を含む特別な分子（ヘム）を持つタンパク質のことで、植物の中では、光合成や呼吸といった重要な働きを担っています。今回の研究では、これまで知られていなかった「植物の形を制御する」という新たな役割が明らかになりました。
RLFタンパク質: これは、植物の成長や発達に関わることが知られているタンパク質です。今回の研究で、RLFタンパク質はヘムタンパク質と結合することで、その働きを助け、植物の形作りをより精密にコントロールしていることが分かりました。

なぜ、コケと花で同じ仕組みが使われていることが重要なの？

コケ植物と被子植物は、進化の過程で大きく異なる道を歩んできました。しかし、今回の研究で、両者に共通のRLFタンパク質とヘムタンパク質による形作りメカニズムが見つかったことは、この仕組みが植物の進化の初期段階から存在し、非常に重要な役割を果たしてきたことを示唆しています。

研究の具体的な内容とポイント

研究チームは、コケ植物と被子植物の両方で、RLFタンパク質がヘムタンパク質と結合し、植物の形作りに関わる遺伝子の働きを調整していることを発見しました。

具体的には、次のような点が明らかになりました。

RLFタンパク質がヘムタンパク質と結合すると、特定の遺伝子の働きが抑制される: この抑制によって、植物の細胞分裂や細胞の成長がコントロールされ、結果として植物の形が作られていきます。
RLFタンパク質の量が変化すると、植物の形も変化する: RLFタンパク質の量を調整することで、植物の形を意図的に変化させることが可能になるかもしれません。

今後の展望

今回の研究成果は、植物の形作りにおける基本的なメカニズムを理解する上で非常に重要な一歩となります。今後、研究が進むことで、次のようなことが期待されます。

食糧問題の解決に貢献: 作物の形をコントロールすることで、収穫量を増やしたり、病害虫に強い品種を開発したりすることが可能になるかもしれません。
環境問題への貢献: 植物の成長を促進したり、環境ストレスに強い植物を開発したりすることで、地球温暖化対策や砂漠化防止に貢献できるかもしれません。

まとめ

東京大学の研究チームによる今回の発表は、植物の形作りにおける長年の謎を解き明かす大きな一歩となりました。ヘムタンパク質とRLFタンパク質の連携という、コケから花まで共通する植物の「共通言語」の発見は、今後の植物科学の研究に大きな影響を与えることでしょう。私たちの食卓を豊かにし、地球環境を守るための新たな技術の開発につながる可能性を秘めた、非常にエキサイティングなニュースです。

ヘムタンパク質が植物の形づくりを制御する──コケ植物と被子植物に保存されたRLFタンパク質の役割を解明──