金融庁からのお知らせ：世界の銀行の「大切なルール」と「天気によるお金のリスク」のお話 ～金融庁が伝えた国際会議の内容～
皆さん、こんにちは。日本の金融システムを守るお役所、金融庁から、2025年5月15日の朝8時に、ちょっと大切な国際会議のお話が発表されました。
この発表は、「中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ」という、世界の金融や銀行のお偉いさんたちが集まる会合で話し合われた内容についてです。具体的には、銀行をより安全にするための「バーゼルⅢ」という国際的なルールの話と、最近よく聞く「異常な天気」が金融（お金や銀行）にどんな影響を与えるか、という二つの大きなテーマが話し合われたそうです。
なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、これは私たちの暮らしにも繋がる、銀行や経済の安定を守るための大切なお話なのです。金融庁の発表をもとに、分かりやすくお伝えしますね。
「中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ（GHOS）」ってどんな人たち？
この「中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ」（GHOSと呼ばれます）は、世界中の主要な国の中央銀行のトップ（日本でいう日本銀行の総裁）や、銀行をしっかり見張るお役所（日本でいう金融庁長官）が集まる、とても権威のあるグループです。
彼らは、世界の銀行が守るべき大切なルール（これを「バーゼル規制」といいます）を決める、「バーゼル銀行監督委員会」（BCBS）という組織の一番上の人たちです。いわば「世界の銀行のルール作り委員会」の親玉のような存在ですね。
彼らの話し合いは、世界の金融システム全体の安定に繋がる、とても重要なものなのです。今回の会合には、日本の代表として日本銀行の総裁と金融庁長官が出席されたことと思います。
議題１：銀行を強くする国際ルール「バーゼルⅢ」の実施について
今回の会合で、まず話し合われたのは、「バーゼルⅢ」というルールの「実施」についてです。
バーゼルⅢは、2008年頃に世界で大きな金融危機が起きたことを受けて、「二度とあんなことが起きないように、銀行をもっと強く、もっと安全にしよう！」という目的で作られた、国際的な銀行の新しいルールの集まりです。
主な内容は、
- 銀行がどれだけ自分のお金（自己資本）を持っていれば安心か？ （急な損が出ても大丈夫なように、体力のある銀行にするためのルール）
- 急な事態に備えて、どれだけすぐに使えるお金（流動性）を持っておくべきか？ （取り付け騒ぎのような時でも、お客さんにお金を払えるようにするためのルール）
- 借りすぎになっていないか（レバレッジ）をチェックするルール （銀行が無理な取引をしすぎないようにするためのルール）
など、銀行の土台をしっかりさせるためのものです。
GHOSの皆さんは、このバーゼルⅢのルールが、世界中のそれぞれの国で、約束通りきちんと「実施」されているか、またはこれからきちんと「実施」されることについて、「期待を再確認した」そうです。
これは、「みんなで決めた大切なルールだから、しっかり守ってね」という、世界の銀行に対する強いメッセージと言えるでしょう。全ての国が同じようにルールを実施することで、国際的な競争が公平になり、世界の金融システム全体がより安定するのです。
議題２：異常な天気による「お金のリスク」について
そして、もう一つの大切な議題は、「極端な気象事象（異常な天気）の金融面への影響」についてです。
最近、世界中でニュースになるような、ものすごい雨や大きな洪水、記録的な暑さなどが頻繁に起きていますね。地球温暖化の影響とも言われています。
こういう「異常な天気」は、ただ生活に影響を与えるだけでなく、「お金」や「銀行」にも色々な影響を与えます。これを「気候変動リスク」とか「物理的リスク」などと呼ぶことがあります。
例えば、
- 大きな災害で建物や工場が壊れると、その建物の持ち主や会社は銀行に借りたお金を返せなくなるかもしれません。
- 会社が災害でストップしてしまうと、事業が立ち行かなくなり、銀行からの借入金の返済が難しくなることもあります。
- 災害で土地の価値が下がったり、逆に水害リスクが高い地域の不動産の価値が将来下がる懸念が出たりすることもあります。
こうしたことが広範囲で起きると、銀行にとって大きな損害となり、ひいては金融システム全体が不安定になる可能性も考えられます。
GHOSでは、こうした「天気によるお金のリスク」が、世界の金融システム全体にどんな影響を及ぼす可能性があるのか、そして、それにどう備えていくべきか、といったことについて、「作業」を進めることについて議論したそうです。
これは、気候変動が進む中で、金融システムも新しいリスクにしっかり目を向け、将来に備えていこう、という世界の金融当局の強い意識の表れと言えるでしょう。銀行が、天気によるリスクをきちんと考えて、貸し出しや投資を行うことが求められてきています。
なぜこのニュースが大切なの？
今回のGHOSでの話し合いは、一見遠い国際会議の話のように思えるかもしれませんが、実は私たちの暮らしにも繋がっています。
銀行がしっかりした国際ルールで守られ、災害のような予期せぬ事態にも備えていれば、私たちの預金が守られたり、必要な時に企業がお金を借りられたりして、社会全体の経済が安定しやすくなります。
また、異常気象によるお金のリスクを銀行がしっかり考えるようになれば、リスクの高い場所への無計画な投資などが減り、社会全体で気候変動への対応が進むことにも繋がるかもしれません。
金融庁が、こうした世界の話し合いの内容をきちんと私たちに伝えてくれることは、日本の金融システムが世界の動きと連携して、安全で強いものであることを示しています。
まとめ
今回の金融庁の発表は、「世界の金融のリーダーたちが集まって、銀行をもっと安全にするルールを守る約束を再確認し、そして新しい大きなリスクである天気のリスクにも真剣に向き合い始めている」という大切なニュースでした。
これからも、世界の金融システムが安定し、私たちの暮らしが安心して送れるように、こうした国際的な協力が進んでいくことが期待されます。
もし、より詳しい内容にご興味があれば、金融庁のウェブサイトで原文をご確認いただけます。
金融庁のプレスリリース（原文）はこちら: https://www.fsa.go.jp/inter/bis/20250515/20250515.html
プレス・リリース「中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループは、バーゼルⅢの実施への期待を再確認し、極端な気象事象の金融面の影響に関する作業について議論」について公表しました。
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