ついに解明！三毛猫さんの毛色のヒミツの鍵が見つかりました！
みなさん、あの愛らしい三毛猫さんをご存知ですよね？白い毛、黒い毛、そして鮮やかなオレンジ色の毛がパッチワークのように組み合わさった、日本でもおなじみの猫さんです。そのユニークな毛色は、私たちを魅了してやみません。
ただ、一つ不思議に思ったことはありませんか？三毛猫さんのほとんどが「メス」だということを。オスの三毛猫さんはとっても珍しく、「見ると幸せになれる」なんて言われるほどなんです。なぜ三毛猫はメスが多いの？あの美しい毛色は一体どうやって決まるの？
そんな長年の疑問の答えに、東京大学の研究チームがついに光を当ててくれました！なんと、三毛猫さんの毛色を操る、大切な遺伝子の一つを発見したという、とっても素晴らしいニュースが飛び込んできました！
この発見は、2025年5月15日の午後3時に、東京大学から正式に発表されたものです。（https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400263919.pdf のプレスリリースで詳しく見ることができますよ。）
見つかった「毛色の司令塔」遺伝子とは？
今回、東京大学の研究チームが見つけ出したのは、「HTR2C遺伝子」という名前の遺伝子です。ちょっと難しい名前ですが、この遺伝子が、三毛猫さんの「オレンジ色」の出方を決める上で、とても重要な役割を果たしていることが分かったんです。
これまで、猫のオレンジ色の毛色は、X染色体という性別を決める染色体にある特定の遺伝子（Orange遺伝子と呼ばれています）が関わっていることは知られていました。メス猫はX染色体を2本持っているので、このOrange遺伝子の組み合わせによって、オレンジ色が出るか出ないか、あるいはまだらになるかなどが決まる、と考えられていたんです。
でも、それだけでは三毛猫の複雑な模様や、なぜオスが珍しいのかを全て説明することはできませんでした。
今回の研究で明らかになったのは、このHTR2C遺伝子が、実はオレンジ色の発現を「抑える」役割を担っている、ということです！
HTR2C遺伝子の「変異」がカギ！
さらに研究を進めた結果、三毛猫さんや、似たようなまだら模様の猫さんでは、このHTR2C遺伝子に特定の「変化」（変異）が起きていることが分かったんです。
例えるなら、 * Orange遺伝子は「オレンジ色の絵の具を持ってくる役割」 * HTR2C遺伝子は「この場所にはオレンジ色を塗らないように！」と指示を出す「司令塔」
のようなイメージです。
ところが、HTR2C遺伝子に「変異」が起きると、この「司令塔」がうまくお仕事できなくなってしまいます。「オレンジ色を塗らないで！」という指示が出せなくなると、どうなるでしょう？
そう、本来ならオレンジ色が出ないはずの場所でも、オレンジ色が出てきてしまうんです！
今回の研究では、このHTR2C遺伝子の機能が失われるような変異が、メスでは三毛猫やキジ三毛（茶色っぽい毛にオレンジ色のまだらが入った猫さん）、オスではクリーム色やレッド系のまだら模様を引き起こすことを突き止めました。
なぜ三毛猫はメスが多いの？
今回のHTR2C遺伝子の発見は、三毛猫にメスが多い理由も、より深く理解するヒントになります。
先ほども触れたように、メス猫はX染色体を2本持っています。そして、オス猫はX染色体を1本しか持っていません。
毛色を決めるOrange遺伝子はX染色体の上にあります。そして、今回発見されたHTR2C遺伝子も、どうやら毛色の発現に影響を与えるようです。
メスは2本のX染色体のそれぞれに乗っている遺伝子の組み合わせや、どちらのX染色体を使うか（これは細胞ごとにランダムに決まる「X染色体不活化」という現象が関係しています）によって、白い毛、黒い毛、オレンジ色の毛がモザイクのように現れやすくなります。
そこに、今回のHTR2C遺伝子の変異が加わることで、オレンジ色の出方がさらに複雑になり、様々な三毛やサビ（黒とオレンジが混じった模様）といった多様な毛色が生まれると考えられます。
一方、オスはX染色体が1本なので、遺伝子の組み合わせがシンプルになります。通常、オスが三毛になるためには、とても珍しい染色体異常（XXYのようにX染色体が余分にある場合など）が必要になります。今回のHTR2C遺伝子の発見は、通常のオス猫でクリーム色やレッド系のまだら模様が現れるメカニズムも説明するものであり、三毛猫のオスの珍しさについても、遺伝子の働き方の違いから理解が進む可能性があります。
この研究のすごいところ
今回の発見は、単に「三毛猫の毛色の謎が一つ解けた！」というだけでなく、科学的に見てもとても重要な意味を持っています。
- 長年の謎に迫った: 三毛猫の複雑な毛色パターンが、X染色体上の遺伝子だけでなく、別の遺伝子（HTR2C）の働きによっても大きく左右されることが明らかになりました。これは、動物の毛色や模様が、複数の遺伝子が協力し合って決まることの良い例です。
- 遺伝子発現制御の理解: HTR2C遺伝子は、毛色の素となる色素を作る細胞（色素細胞）の中で、特定の信号の伝達に関わるセロトニン受容体というタンパク質を作る設計図です。この遺伝子の働きが、オレンジ色の発現を「オンにするかオフにするか」を制御していることが示唆されており、これは遺伝子がどのように働くかを理解する上でも貴重な情報です。
- 他の研究への広がり: 今回見つかったHTR2C遺伝子は、毛色だけでなく、神経系など他の体の機能にも関わることが知られています。今回の発見をきっかけに、猫の毛色研究だけでなく、遺伝子の働きや、動物の行動など、様々な分野の研究が進む可能性も秘めています。
これからも三毛猫さんと共に
東京大学の研究チームは、この発見によって、三毛猫さんの毛色が決まる仕組みのほんの一端が明らかになったばかりで、まだまだ解き明かすべき謎がたくさんあると述べています。
今回の研究成果は、私たちの身近にいる三毛猫さんの不思議で魅力的な毛色が、どれほど複雑で繊細な遺伝子の働きによって生み出されているのかを教えてくれます。
これからは、三毛猫さんを見るたびに、その美しいパッチワーク模様の裏に隠された、HTR2C遺伝子という「司令塔」の働きや、X染色体の物語を思い出してみるのも面白いかもしれませんね。
この素晴らしい研究に携わった東京大学の研究者の皆さんに、心から感謝申し上げます。そして、私たちの心を癒してくれる三毛猫さんたち、これからもどうぞ元気で、その美しい毛色で私たちを魅了し続けてくださいね！
この発見が、将来的に猫さんの健康や遺伝性疾患の理解にも繋がっていくことを期待しています。
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