共生菌が「悪者」になるメカニズム ──植物内生菌が潜在的に有する病原性発現機構の解明──, 東京大学

え、味方だった菌が敵に！？植物を守るはずの菌が悪さをする仕組みを東大が解明！

私たちの身の回りには、目に見えない小さな生き物である「菌」がたくさんいます。中には、私たち人間や植物と仲良く共生して、良い影響を与えてくれる菌もいます。まるで、いつもそばにいて助けてくれる友達みたいですよね。

そんな「良い菌」として知られる植物内生菌が、実は状況によっては「悪者」になる可能性があることを、東京大学の研究チームが突き止めました！しかも、その悪さをする仕組み（メカニズム）まで解明したというから驚きです。

植物内生菌ってなに？

植物内生菌とは、植物の内部に住み着いている菌のこと。多くの場合、植物の成長を助けたり、病気から守ったりする役割を果たしてくれます。例えば、土壌から栄養を吸い上げるのを手伝ったり、他の有害な菌の増殖を抑えたりしてくれるんです。植物にとっては、まさに頼りになるパートナー！

今回の研究で何がわかったの？

今回の研究では、植物内生菌の中には、普段は大人しくしているものの、特定の条件下で病原性（病気を引き起こす能力）を発揮するものがいることがわかりました。

研究チームは、植物内生菌の一種である Colletotrichum tofieldiae（コレトリカム・トフィールドアイ）という菌に注目しました。この菌は、通常、モデル植物であるシロイヌナズナの成長を促進する働きをします。しかし、研究の結果、以下のことが明らかになりました。

特定の環境下で悪者になる: Colletotrichum tofieldiae は、植物が特定のストレス（例えば、栄養不足や病気など）にさらされると、病原性を発揮し、植物に害を与えるようになる。
悪さをする仕組み: この菌は、植物がストレスを受けると、「炭素代謝」という、エネルギーを作り出す仕組みを変化させます。この変化によって、植物細胞を破壊する酵素を大量に作り出すようになり、結果的に病気を引き起こすと考えられます。
まるで裏切り！？: 普段は助けてくれる菌が、ピンチの時には牙をむくような、ちょっと怖い仕組みですね。

この研究の何がすごいの？

今回の研究のすごいところは、以下の点が挙げられます。

この研究からどんな未来が期待できるの？

今回の研究成果は、今後の農業や環境問題の解決に役立つ可能性があります。

まとめ

今回の東京大学の研究は、植物と共生菌の関係の奥深さを改めて教えてくれるものでした。一見すると「良いもの」「悪いもの」と単純に分けられない、複雑な自然の仕組みを理解することは、より良い未来を築くための第一歩となるでしょう。

関連情報

東京大学のプレスリリース: https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20250411000000.html
植物内生菌に関する参考文献: 植物内生菌についてさらに詳しく知りたい場合は、インターネットで検索したり、図書館で関連書籍を探したりしてみてください。

このニュースをきっかけに、身の回りの自然や生き物たちに、より興味を持つ人が増えることを願っています。