（研究成果の発表）妊娠中の女性ホルモンは胎児の栄養環境とその後の成長に影響する ―mPRε受容体を標的とした妊娠糖尿病治療薬開発の可能性―, 東京農工大学

お母さんのホルモンが、赤ちゃんの発達に大切！妊娠糖尿病の新しい治療薬への期待

東京農工大学の研究チームが、妊娠中の女性ホルモンが、お腹の中の赤ちゃんへの栄養の供給や、その後の成長に大きく影響していることを明らかにしました。今回の発見は、妊娠糖尿病という病気の新しい治療薬の開発につながるかもしれない、とても重要な一歩です。

妊娠糖尿病ってどんな病気？

妊娠糖尿病は、妊娠中に血糖値が高くなってしまう病気です。お母さんの血糖値が高いと、赤ちゃんが大きくなりすぎたり、生まれてから低血糖になったり、将来的に生活習慣病になりやすくなったりするリスクがあります。

今回の研究でわかったこと

研究チームは、妊娠中に増える「プロゲステロン」という女性ホルモンが、「mPRε（エムピーアールイプシロン）」という受容体にくっつくことで、胎盤を通して赤ちゃんに栄養を送る働きを調整していることを発見しました。

プロゲステロンとmPRεの役割: プロゲステロンは妊娠を維持するために必要なホルモンで、mPRεは細胞の表面にある、ホルモンを受け取るための特別な場所です。
栄養供給の調整: プロゲステロンがmPRεにくっつくと、胎盤にある栄養を運ぶタンパク質の量が増えたり減ったりして、赤ちゃんへの栄養の供給量が調整されます。
妊娠糖尿病との関係: 妊娠糖尿病のお母さんでは、プロゲステロンの働きがうまくいかず、mPRεの働きも異常になっている可能性があることが示唆されました。

新しい治療薬への期待

今回の研究成果は、mPRεをターゲットにした新しい妊娠糖尿病の治療薬を開発できる可能性を示しています。

mPRεを調整する薬: mPRεの働きを正常に近づけるような薬を開発できれば、妊娠糖尿病のお母さんの血糖値をコントロールしやすくなり、赤ちゃんへの影響も少なくできるかもしれません。
より安全な治療: 現在の妊娠糖尿病の治療法に加えて、新しい選択肢が増えることで、お母さんと赤ちゃんにとって、より安全で効果的な治療ができるようになることが期待されます。

研究チームからのメッセージ

研究チームは、「今回の発見を基に、妊娠糖尿病の病態解明を進め、新しい治療法の開発につなげていきたい」と話しています。

私たちの生活への影響

この研究は、妊娠糖尿病の治療だけでなく、妊娠中の女性の健康管理、そして生まれてくる赤ちゃんの未来にも大きく貢献する可能性があります。

妊娠中の健康管理の重要性: 妊娠中は、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、定期的な検診を受けることが大切です。
将来の生活習慣病予防: 妊娠糖尿病だったお母さんから生まれた赤ちゃんは、将来的に生活習慣病になりやすい傾向があるため、小さい頃から健康的な生活習慣を身につけることが重要です。

今回の研究成果が、妊娠糖尿病に悩むお母さんと赤ちゃんにとって、希望の光となることを願っています。