東京大学、鉄系超伝導体で新種の超伝導状態を解明
2024年10月11日、東京大学は、鉄系超伝導体における「第4の超伝導状態」の特異な特性と不安定性を解明したと発表しました。
超伝導とは
超伝導とは、ある物質が特定の温度以下になると電気を抵抗なく流す現象です。このため、超伝導体はエネルギー損失が少なく、電力や磁気浮上列車などのさまざまな用途が期待されています。
鉄系超伝導体
鉄系超伝導体は、鉄を含む比較的安価な材料で超伝導性を示す物質です。従来の超伝導体は、非常に低温でしか超伝導性を示しませんでしたが、鉄系超伝導体は比較的高い温度で超伝導性を示すため、実用化が期待されています。
第4の超伝導状態
東京大学の研究チームは、鉄系超伝導体であるBaFe2As2に磁場を印加すると、これまでに知られていなかった第4の超伝導状態が発生することを発見しました。この状態では、電子の運動が異常な挙動を示し、通常の超伝導状態とは異なる性質が観測されました。
特異な特性と不安定性
第4の超伝導状態は、従来の超伝導状態に比べて、非常に強固な超伝導特性を示すと同時に、非常に不安定であることがわかりました。わずかな擾乱でも超伝導状態から通常の状態に戻ってしまいました。
研究の意義
この研究は、鉄系超伝導体の新しい性質を明らかにし、超伝導体の理論的な理解を深める上で重要な意味を持っています。また、超伝導体の安定化につながる可能性があり、超伝導体の実用化に向けて大きな前進となることが期待されています。
関連情報
- 東京大学プレスリリース: www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0508_00094.html
- Nature Communications論文: www.nature.com/articles/s41467-024-36302-w
鉄系超伝導体における「第4の超伝導状態」の特異な超伝導特性とその不安定性を解明
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