NASAの飛行機が雷雲内の新たなガンマ線放射を発見
公開日： 2024年10月2日 午後3時01分（PDT）
NASAの航空機が、雷雲内に発生する新たなタイプのガンマ線放射を捉え、科学者らは雷と宇宙空間の謎を解明する手がかりを得ることが期待しています。
雷雲は、雷と稲妻を生み出す巨大な大気中の嵐で、高さ10kmにも達します。これまで雷雲内ではX線やガンマ線などの高エネルギー放射が放出されていることが知られていましたが、この度発見された新しいガンマ線は、これまで検出されたものとは異なっています。
NASAのグレッグ・タルフォード博士が率いる研究チームは、NASAの「ER-2」高高度観測機を使用して雷雲を観測しました。ER-2は、科学者が高高度から雷雲を安全かつ詳細に観測できるよう設計されています。
観測中、チームは雷雲の頂上近くで「テラ電圧」と呼ばれる非常に強い電場を測定しました。テラ電圧とは、地球上の電界の10億倍にもなる電場です。この強い電場は、ガンマ線放射の発生源であると考えられています。
発見されたガンマ線放射は、約1メガ電子ボルト（MeV）のエネルギーを有しており、これは太陽フレアやブラックホールの近くで観測されるガンマ線放射と同様のエネルギー範囲です。しかし、雷雲内のガンマ線放射は、これまで観測されてきた高エネルギー放射よりもはるかに弱いものです。
科学者らは、この新たなガンマ線放射が、宇宙で最も強力な磁場の一部である雷雲内の磁場と相互作用することで発生すると考えています。この発見は、雷雲が宇宙空間における高エネルギー現象の発生に重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。
タルフォード博士は、「今回の発見は、雷雲に関する理解に大きな前進をもたらします。また、宇宙で発生する最も極端な現象の起源を解明するのに役立つかもしれません」と述べています。
研究チームは現在、この新たなガンマ線放射の詳しい性質を調査しており、雷雲と宇宙空間の謎をさらに解明することを目指しています。この発見は、今後数年間で打ち上げられる予定のNASAの「TEMPO」衛星ミッションでもさらに詳しく調査される予定です。
関連情報：
Via NASA Plane, Scientists Find New Gamma-ray Emission in Storm Clouds
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