大阪公立大学「寛容さではなく不信感が多文化社会の鍵」
大阪公立大学は2025年1月17日、約200年前のオスマン帝国に関する新しい発見を発表しました。研究によると、これまで考えられていた「寛容さ」ではなく、むしろ「不信感」がオスマン帝国の多文化社会を支えていたことが判明したのです。
従来の寛容さの解釈
これまで、オスマン帝国は、異なる宗教や民族が平和的に共存する「寛容な帝国」として認識されてきました。オスマン帝国の統治者たちは、「ミッレト制度」と呼ばれるシステムを導入し、各宗教コミュニティに自治権を与えたことで知られています。
新発見による不信感の重要性
しかし、大阪公立大学の研究者は、約200年前の政府文書を分析した結果、ミッレト制度が単に寛容を促進しただけではなく、むしろ不信感を生み出したことを明らかにしました。
文書には、異なる宗教コミュニティのメンバー間で起こった無数の紛争や疑心暗鬼が記録されていました。オスマン帝国はこれらの紛争を解決するために、コミュニティ間の接触を制限し、相互不信を維持しました。
研究者は、このような不信感が、多文化社会における緊張を低減し、異なったグループ間の平和的な共存を可能にしたと主張しています。不信感が、相手を尊重し、境界を尊重する必要性を認識させることで、コミュニティ間の衝突を防いだのです。
歴史的意義
この発見は、多文化社会における寛容さと不信感の役割についての私たちの理解に、重要な影響を与えるものです。従来、寛容さが多文化社会の鍵と考えられてきましたが、研究では、不信感も重要な役割を果たす可能性があることが示されています。
大阪公立大学の調査結果は学術誌『Historical Studies in the Social Sciences』に掲載されました。
多文化社会を読み解く鍵は寛容さではなく不信感だった －約200年前の文書から見たオスマン帝国の新事実－
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