東京大学が細胞内のカリウムイオンを赤く光らせる技術を開発
発表日：2024年11月30日 05:00
東京大学は、細胞内のカリウムイオンを赤く光らせる技術を開発したと発表しました。この技術により、細胞内のカリウムイオン濃度の変化をリアルタイムで可視化することが可能になります。
背景
カリウムイオンは細胞にとって重要な役割を果たすイオンです。細胞の膜電位や浸透圧を維持し、神経の興奮伝達や心臓の収縮にも関与しています。そのため、細胞内カリウムイオン濃度の変化は、細胞の機能や病態を反映しています。
開発された技術
研究チームは、遺伝子操作により細胞に「赤色蛍光タンパク質」というタンパク質を導入し、このタンパク質がカリウムイオンに結合するようにしました。カリウムイオンが結合すると、赤色蛍光タンパク質が赤く蛍光を発し、細胞内のカリウムイオン濃度の変化を可視化できるようになります。
応用
この技術は、次のような研究や医療応用が期待されています。
- 細胞の興奮の伝達メカニズムの解明
- 心臓や筋肉などの組織の活動の観察
- 腎臓や脳などのカリウムイオン濃度の変化に関わる病気の診断や治療
利点
従来のカリウムイオン濃度測定法では、電極を細胞内に挿入する必要がありましたが、この技術では非侵襲的に細胞内のカリウムイオン濃度を測定できます。また、リアルタイムで可視化できるため、細胞内の動的な変化を捉えることができます。
今後の展望
研究チームは、技術のさらなる感度向上や、他のイオンの可視化への応用を目指しています。この技術の開発により、細胞生物学や医療の分野に新たな知見がもたらされると期待されています。
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