HPE、Autonomy買収に関する損害賠償で7億4000万ポンドの判決を獲得
2025年7月22日、Electronics Weeklyは、Hewlett Packard Enterprise（HPE）が、かつて買収したAutonomy社との取引における損害賠償として、7億4000万ポンド（約1300億円相当）もの巨額の判決を獲得したというニュースを報じました。このニュースは、テクノロジー業界における大規模な買収とその後の法的な争いを浮き彫りにするものです。
複雑なAutonomy買収劇の背景
HPEがAutonomy社を約110億ドル（当時のレートで約8,700億円）という巨額で買収したのは、2011年のことでした。当時、Autonomy社はエンタープライズ向けのソフトウェア、特にデータ管理や分析ソフトウェアの分野で高い評価を得ていました。HPEはこの買収により、ソフトウェア事業の強化と事業ポートフォリオの拡大を目指していました。
しかし、買収からわずか1年後の2012年、HPEはAutonomy社の買収で約88億ドルもの減損処理を発表しました。HPEの主張によれば、Autonomy社が買収前に不正な会計処理を行い、その実態が買収後に発覚した、というものでした。具体的には、Autonomy社がソフトウェアの収益を実際よりも過大に計上していたことや、買収対象の事業に隠れた問題があったとされています。
この発表を受け、HPEはAutonomy社の元経営陣らを相手取り、訴訟を起こしました。その中で、HPEはAutonomy社が買収前に「詐欺行為」を行ったと主張し、買収によって被った損害の賠償を求めていました。
7億4000万ポンドという巨額の判決
今回のElectronics Weeklyの報道にある7億4000万ポンドという判決は、この長年にわたる法廷闘争の末に、HPEが有利な結果を得たことを意味します。これは、HPEが主張してきた損害の一部、あるいはHPEの主張が裁判所に認められた結果として、この金額が妥当と判断されたと考えられます。
この判決は、企業買収におけるデューデリジェンス（買収前調査）の重要性を改めて示唆するものです。買収対象企業の財務状況や事業内容について、徹底的かつ正確な調査を行わなければ、将来的にこのような巨額の損失や法的な問題に直面する可能性があることを、この事例は教えてくれます。
今後の影響と教訓
今回の判決は、HPEにとっては過去の大きな損失の一部を回収する糸口となる可能性があります。しかし、依然として買収額の大部分は失われたままであり、Autonomy買収はHPEにとって大きな痛手となったことは間違いありません。
また、この件はテクノロジー業界全体に対しても、M&A（合併・買収）におけるリスク管理や、企業買収の透明性、そして適正な会計処理の重要性について、改めて考えさせる事例となるでしょう。買収する側とされる側、双方にとって、信頼性と誠実さが不可欠であることを、このAutonomy買収劇は雄弁に物語っています。
HPEがこの判決をどのように活用し、今後の事業運営にどう活かしていくのか、注目が集まります。
HPE awarded £740m for damages over Autonomy deal
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