EU、国境管理を強化する「出入国管理システム（EES）」の段階的導入を承認
2025年7月18日、欧州連合理事会（EU Council）は、EUの国境管理をより安全かつ効率的にするための重要な一歩として、「出入国管理システム（Entry/Exit System – EES）」の段階的な導入を正式に承認しました。これは、EU域外から訪れる旅行者の入国・出国記録をデジタル化し、不法滞在の検出やテロ対策の強化を目的とした、EUの国境管理における画期的な取り組みと言えます。
EESとは？ – EUの顔認証システムが安全な旅をサポート
EESは、EU加盟国への入国・出国を希望する、ビザ免除措置対象の第三国籍者（日本、韓国、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど）の個人情報（顔写真、指紋、パスポート情報など）を記録・管理する新しいシステムです。これにより、これまでパスポートへのスタンプなどで管理されていた国境通過記録が、より高度なテクノロジーを用いてデジタル化されます。
EES導入の主な目的は以下の通りです。
- 国境管理の強化: 不法滞在者の検出能力を高め、EU域内の安全保障を強化します。
- テロ対策: 潜在的な脅威となる人物の特定を容易にし、テロ行為の未然防止に貢献します。
- 出入国手続きの効率化: テクノロジーを活用することで、国境での待ち時間を短縮し、旅行者の利便性を向上させることが期待されています。
- ビザ政策の整合性: EU全体のビザ政策の実施をより一貫性のあるものにします。
段階的導入 – シームレスな移行を目指して
今回の理事会での承認は、EESが「段階的に」導入されることを意味しています。これは、システムが一度に全ての国境で稼働するのではなく、一定の期間をかけて段階的に、そして慎重に展開されていくことを示しています。これにより、システムのスムーズな稼働と、旅行者や関係者への影響を最小限に抑えることが図られます。
この段階的なアプローチは、システム開発の複雑さや、各加盟国でのインフラ整備、そして何よりも旅行者が混乱することなく新しいシステムに慣れていくための配慮と言えるでしょう。
今後の展望 – より安全でスマートなEUへの旅
EESの段階的導入は、EUの国境管理がより現代的で、データに基づいたアプローチへと進化していくことを示しています。これにより、EUへの旅行者は、これまで以上に安全で、そして管理された環境で入国・出国できるようになります。
この新しいシステムは、EU域外からの旅行者にとって、入国手続きにおける若干の変化をもたらす可能性があります。しかし、その根底にあるのは、EU全体の安全保障を高め、より安全で効率的な旅行環境を実現しようとする強い意志です。
EUは、今後もEESの導入に向けた準備をさらに進め、関係各所との連携を深めていくことでしょう。この新しいシステムが、EUへの旅をより安心で、そしてスマートなものへと変えていくことが期待されます。
（注：本記事は、公開されたプレスリリースに基づいて、関連情報を含めて分かりやすく記述したものです。実際の導入時期や手続きの詳細については、EU当局からの公式発表をご確認ください。）
EU ministers give green light to progressive start of Entry/Exit system
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