
欧州議会議員、予算案に「課題への対応に不十分」と警鐘
ブリュッセル発 – 2025年7月16日
欧州議会の主要議員たちは、欧州連合(EU)の次期予算案について、現在の欧州が直面する多岐にわたる課題に対応するには「明らかに不十分だ」と強い懸念を表明しました。この声明は、欧州議会が予算案を審議する中で発表されたもので、EUの財政的な野心と現実との乖離が浮き彫りになっています。
なぜ予算案が不十分なのか?
議員たちの懸念は、主に以下の点に集約されています。
- 安全保障と防衛への投資不足: ウクライナでの紛争が長期化し、地政学的な緊張が高まる中、EUは自らの防衛能力を強化し、同盟国を支援するためのさらなる財源を必要としています。しかし、現行の予算案では、この喫緊の課題に対応するための十分な投資が盛り込まれていないというのが議員たちの共通認識です。
- グリーン・ディールとデジタル変革への支援: 欧州は、気候変動対策として「グリーン・ディール」を推進し、デジタル化への移行を加速させています。これらの野心的な目標を達成するには、大規模な投資が不可欠ですが、予算案ではその規模が不足していると指摘されています。
- 経済競争力の維持・強化: 世界経済は激しく変動しており、EUは競争力を維持・強化するために、研究開発、イノベーション、インフラ投資に力を入れる必要があります。しかし、予算案はこれらの分野への十分な配分を確保できていないと批判されています。
- 喫緊の課題への対応: エネルギー危機、インフレ、移民問題など、EUは現在、複数の喫緊の課題に直面しています。これらの課題に効果的に対処するためには、より柔軟で十分な財政的裏付けが必要ですが、予算案はその必要性を十分に満たしていないと見られています。
議員たちの声
担当の欧州議会議員は、「この予算案は、私たちが直面する複雑で相互に関連する課題の規模を過小評価している」と述べ、「欧州がその価値観と安全保障を守り、持続可能な未来を築くためには、より現実的で野心的な予算編成が必要だ」と強調しました。
また、別の議員は、「EUは今、歴史的な岐路に立っている。この予算案では、その岐路を乗り越えるための十分な力強い一歩を踏み出すことができないだろう」と懸念を示しました。
今後の見通し
今回発表された予算案は、欧州委員会が提案したものであり、今後、欧州議会と加盟国政府の間で詳細な交渉が行われます。議員たちは、この予算案が「出発点」に過ぎないとして、より大幅な見直しと増額を求めていく姿勢を明確にしました。
欧州の未来を左右する重要な予算審議は、今後も注目を集めることになりそうです。EUが直面する課題に効果的に対応し、その市民の安全と繁栄を確保するためには、財政的な裏付けの強化が不可欠であるという、議員たちの声は重く受け止められるべきでしょう。
Press release – Budget proposal “simply not enough” to meet Europe’s challenges, lead MEPs say
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