TikTok、欧州で再び調査対象に：中国へのデータ転送問題が再燃
2025年7月10日、フランスのニュースサイトPresse-Citronは、「TikTokは再び欧州の調査対象となった。依然として中国へのデータ転送が原因である」と報じました。このニュースは、多くのユーザーを抱えるTikTokのプライバシー保護に対する懸念を改めて浮き彫りにしています。
なぜTikTokが再び調査対象になったのか？
今回の調査は、TikTokがユーザーの個人データをどのように扱い、特に中国国内へのデータ転送が欧州連合（EU）の厳しいデータ保護規制に違反しているのではないか、という点に焦点が当てられています。EUは、個人データが国境を越えて移転される際に、十分な保護措置が講じられているかを厳しく監視しています。TikTokの親会社であるByteDanceは中国に拠点を置いているため、この点が大きな懸念事項となっているのです。
過去にも、TikTokは同様の理由で欧州各国の規制当局から調査を受けてきました。ユーザーの個人情報が、中国政府のアクセスを受ける可能性のある場所に移転されているのではないか、という懸念が根強く存在しています。今回の調査も、これらの過去の懸念が解消されていない、あるいは新たな情報が出てきたことを示唆している可能性があります。
欧州におけるデータ保護規制の厳格さ
EUでは、2018年に施行された一般データ保護規則（GDPR）によって、個人データの取り扱いに関するルールが大幅に強化されました。GDPRは、個人データの収集、処理、保存、移転について、個人の同意や透明性の確保などを義務付けています。これらの規制は、デジタル時代における個人のプライバシーを守るための重要な枠組みです。
特に、中国のような国々へのデータ転送に関しては、EUは厳格な姿勢をとっています。これは、現地の法律によっては、外国政府が企業にデータへのアクセスを要求する権限を持つ場合があるためです。ユーザーの機密情報が、意図しない形で第三者の手に渡ることを防ぐため、EUはデータ転送の安全性に非常に敏感になっています。
TikTok側の対応と今後の見通し
TikTokは、ユーザーのプライバシーとセキュリティを最優先事項としていると繰り返し主張しています。欧州委員会との対話を通じて、データが欧州域外に転送される際の安全対策を強化する取り組みを進めてきました。例えば、欧州のユーザーデータを欧州国内のサーバーに保管する、といった対策が講じられています。
しかし、今回の新たな調査は、これらの対策が依然として十分ではないと見られているか、あるいは新たな懸念が生じたことを意味するかもしれません。欧州当局が具体的にどのような点を問題視しているのか、詳細な情報はまだ明らかにされていませんが、今後の調査の進展によって、TikTokの欧州での事業運営に影響が出る可能性も考えられます。
今回の欧州による調査は、TikTokだけでなく、グローバルにサービスを展開する他のテクノロジー企業にとっても、データ保護とプライバシー規制への対応の重要性を再認識させる出来事と言えるでしょう。ユーザーの信頼を得ながら、世界中の規制を遵守していくことは、デジタルプラットフォームにとって避けて通れない課題となっています。
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