米国防総省、低コストドローンの軍事利用拡大へ － ヘグセス氏、異例の指示を飛ばす
2025年7月11日、米国のThe Register紙は、ピート・ヘグセス国防副長官が、低コストドローンの軍事利用を拡大するための指示を記した「飛び飛びのメモ」に署名したと報じました。この動きは、特にウクライナ紛争でその有効性が示された小型ドローンの活用を、より戦略的に推し進めようとするものです。
なぜ低コストドローンなのか？
これまで、軍事用のドローンといえば、高度なセンサーや長距離飛行能力を備えた高価なものが主流でした。しかし、ウクライナでの戦況は、比較的安価で大量に配備できる小型ドローンが、偵察、監視、さらには攻撃といった多様な任務で驚くほど効果的であることを示しました。これらのドローンは、従来の高価な兵器システムでは難しい、柔軟かつ迅速な対応を可能にします。
ヘグセス副長官の「飛び飛びのメモ」とは？
The Register紙が「flying memo（飛び飛びのメモ）」と表現しているのは、その内容が従来の公式文書とは異なり、よりインフォーマルで現場の柔軟な対応を促すような指示であることを示唆しています。具体的な内容はまだ詳細には明らかになっていませんが、このメモを通じて、各軍部隊に対して、既存の予算や調達プロセスに縛られすぎず、革新的かつ低コストなドローンソリューションを積極的に模索し、導入することを奨励していると考えられます。
これには、市販のドローンを改造して軍事用途に転用するアイデアや、民間企業との連携を強化して最新技術を迅速に取得するといった方向性が含まれる可能性があります。また、AI技術との組み合わせや、敵の電子戦への対抗策といった、より高度な運用方法についても言及されているかもしれません。
異例のスピード感と、その背景
この指示が、軍事分野においては異例とも言えるスピード感で出されている背景には、現在の地政学的な緊張関係があります。特に、ロシアによるウクライナ侵攻は、現代戦における非対称兵器、特にドローン技術の重要性を浮き彫りにしました。米国は、こうした新たな脅威に対応するため、迅速かつ柔軟な技術導入と運用能力の強化を迫られています。
ヘグセス副長官は、以前からテクノロジーとイノベーションに強い関心を示しており、今回の指示は、彼のそうした姿勢の表れとも言えます。彼は、従来の軍事調達プロセスが、急速に変化するテクノロジーの進化に追いつくのが遅いと感じており、現場の創造性や民間技術の活用を後押しすることで、このギャップを埋めようとしているのでしょう。
今後の展望
この指示が、米軍のドローン戦略にどのような変化をもたらすのか、注目が集まります。低コストドローンの普及は、軍隊全体の運用能力を向上させるだけでなく、偵察や情報収集といった任務において、より手軽で迅速な対応を可能にするでしょう。また、敵対勢力に対しても、これまでとは異なる戦術的な優位性を築くことができる可能性があります。
一方で、こうした新しい技術や運用方法の導入には、サイバーセキュリティや倫理的な問題など、新たな課題も伴います。米国防総省は、これらの課題にも慎重に対処しながら、ドローン技術の可能性を最大限に引き出していくことが求められます。
ヘグセス副長官の「飛び飛びのメモ」は、米軍が現代の戦場において、より機敏で効率的な組織へと進化していくための、重要な一歩となるかもしれません。
Hegseth signs flying memo to expand military use of cheap drones in oddball video
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