ギリシャの「難民申請の一時停止」に、国連から懸念の声,Europe

ギリシャの「難民申請の一時停止」に、国連から懸念の声

2025年7月10日、国連はギリシャ政府による難民申請手続きの一時停止に対して、深い懸念を表明しました。この決定は、多くの難民とその家族にとって、大きな不安と不確実性をもたらしています。

なぜ国連は懸念を示しているのか？

国連が懸念を示す主な理由は、以下の点にあります。

国際的な人道義務への影響: 国連人権高等弁務官事務所（OHCHR）などの国連機関は、難民の保護に関する国際的な条約や規範に触れ、難民申請を一時的に停止する措置が、これらの義務に反する可能性があると指摘しています。難民条約は、迫害から逃れてきた人々が安全を求め、申請する権利を保障しています。
脆弱な立場にある人々への影響: ギリシャにたどり着いた難民の多くは、紛争、迫害、貧困など、極めて困難な状況から逃れてきた人々です。彼らはしばしば脆弱な状態にあり、身の安全や基本的な生活を送るための支援を必要としています。申請手続きの一時停止は、こうした人々が直面する困難をさらに悪化させる可能性があります。
人道的な懸念: 難民申請が停止されることで、多くの人々が今後どうなるのか分からない状況に置かれます。これは精神的な苦痛を与えるだけでなく、住居、食料、医療などの基本的な支援へのアクセスも不透明になることを意味します。

ギリシャ政府の背景にある事情

ギリシャ政府がこのような措置を取った背景には、いくつかの要因が考えられます。

増加する難民の流入: 近年、地中海ルートを通じた難民の流入が増加しており、ギリシャは依然としてヨーロッパへの玄関口の一つとなっています。これにより、ギリシャ国内の受け入れ体制やリソースに大きな負担がかかっている可能性があります。
EUとの連携: ギリシャは欧州連合（EU）の加盟国であり、EU全体の移民・難民政策との連携も考慮していると考えられます。EU内でも、加盟国間での難民の公平な分担や、国境管理の強化などが議論されており、ギリシャの動きもこうした大きな枠組みの中で捉えることができます。
国内政治的要因: 移民・難民問題は、多くの国の国内政治においても重要な課題となっています。ギリシャ国内でも、世論や政治的な状況が政策決定に影響を与えている可能性は否定できません。

国連が求めるもの

国連は、ギリシャ政府に対し、難民保護に関する国際的な責任を改めて強調し、より人道的で国際法に則ったアプローチを求めています。具体的には、以下のような点が重要視されています。

難民申請手続きの迅速かつ公正な実施: 一時停止措置の見直しや、迅速かつ公正な難民申請手続きの再開を求めています。
脆弱な難民への支援の強化: 特に子ども、女性、高齢者、医療的な支援を必要とする人々への保護と支援の強化を訴えています。
国際社会との協力: ギリシャだけでなく、EU全体、そして国際社会が協力して、難民問題に対する包括的な解決策を見出すことの重要性を強調しています。

今後の展望

ギリシャ政府の今回の決定は、ヨーロッパにおける難民・移民問題の複雑さと、それに伴う人道的な課題を改めて浮き彫りにしました。国連からの懸念表明を受け、ギリシャ政府がどのような対応を取るのか、また国際社会がどのように連携してこの問題に取り組んでいくのか、今後の動向が注目されます。難民一人ひとりの尊厳と人権が守られる形で、この問題が解決に向かうことが強く望まれています。

UN voices concern over Greece’s suspension of asylum applications

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