
マングローブの炭素、長い旅の末に海の深みへ? 東大が驚きの発見
東京大学は2025年7月3日、「マングローブの炭素はどこへ? ――数百年の時を経た湿地から海洋への炭素輸送――」と題したニュースを公開しました。この研究は、これまで謎に包まれていたマングローブ林が、どのようにして二酸化炭素(CO2)を吸収し、それがどこへ運ばれていくのか、その長期的なメカニズムを解き明かしたものです。
マングローブ林、驚くべきCO2貯蔵庫
マングローブ林は、熱帯・亜熱帯地域の海岸に生息する特殊な植物です。潮の満ち引きがある過酷な環境でも育つことができ、その地下にはたくさんの根が張り巡らされています。そして、このマングローブ林が、実は地球温暖化の原因となるCO2を、驚くほどたくさん吸収して貯め込んでいることが知られています。
しかし、マングローブ林が吸収したCO2が、どれくらいの期間、どのように貯め込まれ、最終的にどこへ行くのか、その詳しいことはあまり分かっていませんでした。まるで、マングローブ林が「炭素の宝箱」でありながら、その宝物がどこへ宝探しに出かけるのか分からない状態だったのです。
数百年の「炭素の旅」を追跡
今回の東京大学の研究チームは、この謎を解き明かすために、あるマングローブ林で採取された泥のサンプルを、何百年もの時間をさかのぼるように詳しく調べました。例えるなら、昔の出来事を記録した「タイムカプセル」を次々と開けていくような作業です。
研究者たちは、この泥の中に含まれる古い有機物(かつて生きていた植物などが分解されずに残ったもの)を分析しました。この有機物の中に、マングローブ林が吸収したCO2の痕跡が残っていると考えられます。
そして、驚くべきことが明らかになりました。マングローブ林が吸収した炭素の一部は、何百年もの長い年月をかけて、ゆっくりと湿地の泥から、海の底へと運ばれていく可能性が示されたのです。
海の深みへ運ばれる炭素の秘密
では、どのようにして炭素は海へ運ばれていくのでしょうか? 研究チームは、マングローブの根の周りの環境や、潮の満ち引きによる水の流れなどが、この炭素輸送に関係しているのではないかと考えています。
例えば、マングローブの根が作り出す特別な環境が、有機物を分解しにくくし、その結果として、長い時間かけて泥の中に蓄えられた炭素が、やがて海流に乗って遠くへ運ばれるのかもしれません。あるいは、マングローブの葉や枝などが落ちて分解され、それが海の微生物によって食べられ、さらに深い海の底へと移動していく過程で、炭素が固定されていくのかもしれません。
この研究は、マングローブ林が単にCO2を吸収するだけでなく、その吸収した炭素を長い間、あるいは地球の別の場所(海の深部)に貯蔵する役割も担っていることを示唆しています。これは、地球全体の炭素循環を理解する上で、非常に重要な発見と言えます。
地球温暖化対策への期待
なぜこの研究が重要なのでしょうか? それは、地球温暖化対策を考える上で、非常に大きなヒントを与えてくれるからです。
これまで、マングローブ林は「ブルーカーボン」と呼ばれる、海によって吸収される炭素を貯める場所として注目されてきました。しかし、今回の研究は、そのブルーカーボンの貯蔵期間や、炭素が移動するメカニズムについても新たな視点を与えてくれます。
マングローブ林が、吸収した炭素を数百年の単位で海の底に運び続けるのであれば、それは非常に長い期間、大気中のCO2を減らすことに貢献していることになります。私たちの生活から出るCO2が、マングローブ林と海の長い旅を経て、地球の深いところに静かにしまわれていると考えると、自然の力強さと巧妙さに驚かされます。
この発見は、今後、マングローブ林の保全や再生といった地球温暖化対策を進める上で、より効果的な方法を考えるための貴重な情報となるでしょう。マングローブ林を守ることが、地球の未来を守ることにつながるということを、改めて教えてくれる研究です。
マングローブの炭素はどこへ? ――数百年の時を経た湿地から海洋への炭素輸送――
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東京大学が2025-07-03 05:00に『マングローブの炭素はどこへ? ――数百年の時を経た湿地から海洋への炭素輸送――』を公開しました。このニュースを関連情報を含めて優しい文章で詳細な記事を書いてください。返答は日本語で記事だけにしてください。