神戸大学、タンパク質合成を制御する「デザイナー酵母」を開発
発表日: 2024年12月19日 10:00
神戸大学は、「酵母のタンパク質合成を自在に制御する手法を確立」と発表しました。この手法により、目的のタンパク質だけを効果的に生産する「デザイナー酵母」の開発が可能になります。
研究の背景
タンパク質は、生命活動に欠かせない物質です。医薬品やバイオ燃料など、さまざまな産業でタンパク質の大量生産が求められています。しかし、従来のタンパク質生産方法は効率が悪く、コストが高くつくことが課題でした。
研究内容
神戸大学の研究チームは、酵母細胞内のタンパク質合成を制御する「翻訳抑制因子」に注目しました。この因子は、mRNA(タンパク質合成の設計図)の特定の配列に結合することで、タンパク質合成を抑制します。
そこで研究チームは、翻訳抑制因子の結合配列を人工的に設計し、目的のタンパク質以外のmRNAの翻訳を抑制できるようにしました。これにより、酵母細胞内で目的のタンパク質のみを効率的に生産できるようになりました。
研究成果
この手法により、研究チームは以下を実現しました。
- 目的のタンパク質の生産量を従来法に比べて大幅に増加
- タンパク質の品質を向上し、不完全タンパク質の産生を抑制
- 複数のタンパク質を同時に高効率で生産
応用への期待
この手法により開発されたデザイナー酵母は、次のような応用が期待されています。
- 医薬品や産業用酵素などの高価値タンパク質の大量生産
- バイオ燃料やバイオプラスチックの製造
- 遺伝子治療や再生医療におけるタンパク質の供給
神戸大学の研究チームは、今後この手法をさらに改良し、より効率的で多様なタンパク質生産を実現することを目指しています。デザイナー酵母はバイオものづくりの重要なツールとなり、医薬品やエネルギー、環境などの分野に革新をもたらすことが期待されています。
酵母のタンパク質合成を自在に制御する手法を確立 –バイオものづくりを担う「デザイナー酵母」の開発へ–
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