富山大学、新規環境への進出に際して⽣じる⽣き⽅の多様化〜「湖」へ回遊したサケ科⿂類における回遊パターンの多様化と⼤型化〜

環境変化に合わせて多様化するサケ科魚のライフスタイル

富山大学は、2024年12月12日に、「新規環境への進出に際して生じる生き方の多様化」に関する研究成果を発表しました。この研究では、サケ科魚類が、新しい環境である「湖」に適応するために、回遊パターンと体格を変化させたことが明らかになりました。

背景

サケ科魚類は、川で生まれて海で育つという回遊魚として知られています。しかし、一部の種は、海ではなく湖に回遊するようになりました。富山大学はこの現象を調査するために、北海道の阿寒湖に住むヒメマスを対象に研究を行いました。

研究方法

研究チームは、阿寒湖のヒメマスからヒレの一部を採取し、成長リングを分析しました。成長リングは木の年輪のように、魚の年齢と成長履歴を記録しています。また、回遊の追跡調査も実施しました。

結果

研究の結果、ヒメマスは阿寒湖に回遊して以降、以下のような変化を起こしたことが明らかになりました。

考察

研究チームは、ヒメマスの回遊パターンの多様化と大型化が、湖という新しい環境に適応した結果だと考えています。

回遊パターンの多様化:
さまざまな回遊パターンが、湖内の異なる環境条件に対応したものと考えられています。例えば、夏回遊型は、水温が上昇する夏に最も活動することができ、秋回遊型は、産卵時期に合わせて回遊します。
大型化:
湖では、サケ科魚類の主な餌となるプランクトンが豊富に存在します。この豊富な餌資源が、ヒメマスの大型化につながったと考えられます。

結論

この研究は、新規環境への進出が、生物のライフスタイルに大きな影響を与えることを示しています。サケ科魚類の場合、湖という新しい環境に適応するために、回遊パターンと体格を多様化させました。こうした多様化は、種の存続と進化に重要な役割を果たすと考えられます。