神戸大学、光合成をやめた植物で画期的な受粉・種子散布システムを発見
2024年12月4日、神戸大学は、光合成を行わない興味深い植物が、受粉と種子散布を同じ昆虫に任せているという世界初の生態システムを発見したと発表しました。
光合成をやめた植物
研究の対象となったのは、「ラン科」という植物の中で光合成を行わない「ゴースト蘭」です。ゴースト蘭は、他の植物から栄養を吸収する「菌従属栄養植物」で、葉緑素を持たないため、光合成を行うことができません。
花粉媒介と種子散布
神戸大学の研究チームは、ゴースト蘭に訪れる主な昆虫が「アリ」であることを特定しました。意外にも、アリは単に蜜を摂取するだけでなく、花粉媒介と種子散布の両方に重要な役割を果たしていることが判明しました。
- 花粉媒介:アリは花の蜜を求めてゴースト蘭を訪れ、その過程で花粉を身体に付着させます。異なる花を訪れることで、アリは花粉の受粉を促進します。
- 種子散播:ゴースト蘭の種子は、アリが巣に運び入れる「アリ植物体」と呼ばれる構造を持っています。アリは単に種子を栄養源として利用するのではなく、水分や栄養豊富な環境を提供することで、発芽や成長をサポートします。
共生的な関係
研究チームは、アリとゴースト蘭の間のこの unique な相互作用は、両種にとって有益な共生関係であると結論づけました。アリはゴースト蘭に花粉媒介と種子散布という不可欠なサービスを提供し、ゴースト蘭はアリに栄養源と安全な繁殖場所を提供しています。
生態系への影響
この発見は、菌従属栄養植物の生態系における役割についての理解を深めるのに役立つと期待されています。また、共生関係が、光合成を行わない植物が光合成を行う植物が優勢な環境で生き残るのを可能にしている可能性を示唆しています。
研究の意義
この研究は、以下を含む重要な意義を持っています。
- 光合成を行わない植物の受粉と種子散布の仕組みにおける、アリの重要な役割の特定
- 共生関係が、異なる種の間の相互作用をどのように形作るかの洞察
- 光合成を行わない植物が、生態系において果たす可能性のある役割に関する理解の向上
送粉も種子散布も同じ昆虫にお任せ!? –-光合成をやめた植物において世界初のシステムを発見-–
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