東京大学が脳の活動分離メカニズムを解明
東京大学は、2024年12月4日、脳がどのように自分自身が生み出す活動と外界からの入力による活動を分離しているのかという新たなメカニズムを発見したと発表しました。
脳の活動の分離
脳は、外部の環境から受け取る感覚情報（外界からの入力）と、脳内で自発的に発生する活動の両方を統合して機能しています。これらの異なるタイプの活動が混ざってしまうと、脳の正確な処理が妨げられてしまいます。そのため、脳は、これらを分離するメカニズムを持っています。
新たなメカニズムの発見
東京大学の研究チームは、ラットの大脳皮質という脳領域で、この分離を担う新しいメカニズムを発見しました。大脳皮質は、思考、学習、記憶などの認知機能に関わる重要な領域です。
研究チームは、ラットに視覚刺激を与え、脳活動を測定しました。すると、脳が視覚情報を処理する際、特定のニューロン（神経細胞）が2つの異なる活動パターンを示すことがわかりました。
1つは、外界からの入力に応じて発火する活動でした。もう1つは、入力とは無関係に、脳自身が生み出す自発的な活動でした。
大脳神経回路の役割
研究チームは、この分離を担っているのが、大脳神経回路であることを明らかにしました。神経回路とは、ニューロンが相互につながって形成するネットワークです。
この神経回路は、外界からの入力に応答するニューロンと、自発的な活動を発現するニューロンを別々に接続していました。これにより、脳は2種類の活動を効果的に分離することができていたのです。
認知機能への影響
この発見は、認知機能の理解に重要な洞察を与えます。脳が異なるタイプの活動を分離できなくなると、注意力の低下や記憶障害などのさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
このメカニズムを理解することは、認知症や精神障害の新しい治療法の開発につながる可能性があります。
今後の研究
研究チームは、このメカニズムがどのように発達するのか、また、加齢や病気などによって影響を受けるかどうかをさらに調査する予定です。
今回の発見は、科学誌「Nature Neuroscience」に掲載されています。
脳自身が生み出す活動と外界からの入力による活動を大脳神経回路が分離する新しいメカニズムを解明
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