東京大学が「北斎ブルー」で高感度化学分析を開発
東京大学は、2024年10月31日12:00に、「北斎ブルーで簡便な高感度の化学分析」という研究成果を発表しました。
背景
感度の高い化学分析の手法は、環境モニタリング、医療診断、食品安全など、さまざまな分野で求められています。ただし、従来の方法は複雑でコストがかかることが多く、手軽かつ安価な手法が求められていました。
北斎ブルーとは
「北斎ブルー」とは、浮世絵師・葛飾北斎が用いた青色顔料のことで、軟玉（ジャスパー）を粉砕して作られていました。北斎ブルーは、鉄と銅のイオンを含む結晶構造をしており、独特の深い青色を呈しています。
研究内容
東京大学の研究チームは、北斎ブルーの結晶構造に着目し、そこに特定の有機分子を吸着させることができることを発見しました。この有機分子は、特定のイオンや分子と反応して色が変化する性質を持っています。
研究チームはこの原理を利用して、北斎ブルーを基盤とした化学センサーを開発しました。このセンサーは、水溶液中のイオンや分子の濃度を、色の変化から簡単に測定することができます。
特長
- 簡便性: 北斎ブルーは市販されており、センサーの作製は簡単です。
- 安価性: 北斎ブルーは安価な顔料であるため、センサーのコストを抑えることができます。
- 高感度: 有機分子の色の変化を測定するため、従来の手法よりも高い感度を達成できます。
応用
このセンサーは、以下のような応用が期待されています。
- 環境モニタリング（水質、土壌汚染の検出）
- 医療診断（病気の早期発見）
- 食品安全（残留農薬の検出）
- 教育（化学教育における簡易な実験）
今後の展開
研究チームは、北斎ブルー以外のさまざまな色顔料を用いたセンサーの開発に取り組んでおり、より広範なイオンや分子の検出を可能にすることを目指しています。
この研究成果は、「Analytical Chemistry」誌に掲載されました。
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